【コラム】なぜ「M.R.M」は「書く」ことを重視するの?

【コラム】なぜ「M.R.M」は「書く」ことを重視するのでしょう?

「身体的記憶」と「筋肉反応」

 

吃音の苦悩

 

現代において、吃音の悩みは解決できないものではなくなりました。

 

子どもの頃の吃音は、一定の年齢に達するまでに自然に解消されることが多いのですが、
成人を過ぎてから吃音が自然に改善されることは残念ながらほとんどないんですね。

 

しかし、そうであっても、正しい知識を持ったうえで改善の取り組みを行っていけば
ほとんどの吃音は克服できることが最近の科学的な見解では定着してきています。

 

ただ、「吃音を改善する」といっても
吃音の症状や原因は人それぞれであり、治療に向けた取り組みの方法も千差万別といえます。

 

吃音の引き金となる「トリガー」もひとりひとりで違っていて、1つにだけに特定することはできません。

 

「自分の吃音は何が原因で起きていて、どうすればどもることが少なくなるのか」
そのような自分の吃音の根本原因や、理論を理解した上で改善の道を歩み出すことが
吃音改善の可能性を大きく前進させることになります。

 

「MRM吃音・どもり改善プログラム」は、そうした正しい理解と取り組みを
自分の力で進めていくための一助として開発されたプログラムなんですね。

 

吃音は病院や薬で治すことができるのでしょうか?

 

吃音はどんなに薬を飲み続けたところで改善できるものではありません。

 

その証拠の一つに、アメリカの品医薬品局「FDA」は、
吃音者に対していかなる治療薬も処方することを認めていません。

 

それは、効果がないことだけが理由ではなく、
それらの投薬が深刻な副作用を引き起こす恐れがあるからです。

 

大量の薬

 

かつては、吃音の原因は「心理的なストレス」・・・例えば、以前言葉がうまくでなくて恥をかいてしまった経験や
それによって感じた緊張感などがトラウマになって引き起こされるものと考えられていました。

 

(「音痴」と同じように「耳」に原因があるのではないかとも考えられていました)

 

しかし、最新の研究では「心理的な問題が吃音の原因」という考え方は完全に否定されています。

 

確かに、そうした心理的な要因は吃音をより悪化させたり、
どの程度の症状が出るかという「症状のレベル」には影響を及ぼすのですが、
心理的なストレスそのものが吃音の原因ではないことが判明しているからです。

 

また、ごく一部の吃音者は「耳」の機能の問題を抱えているようですが
ほんど大多数のどもりに悩む方は「耳の機能」が吃音の原因ではないことも証明されています。

 

心理的なストレスが吃音の原因ではなく、ましてや聴覚の問題でもないとすれば、
薬物で吃音を改善することが不可能なのは明らかな事実です。

 

医者問診

 

それにもかかわらず、日本では吃音者が心療内科などで受診すると
うつ病の治療に用いられる精神安定剤を処方されてしまうことが多いのが現実です。

 

これは、風邪っぽい体の不調で病院に行くと
「とりあえず抗生物質を出しておきましょう」といわれてしまうのとよく似た習わしです。

 

ほとんどの風邪はウイルス性のものなので抗生物質はまったく効果がないだけでなく、
抗生物質を飲むことで、体の中にある本来の善玉菌まで殺してしまいなおさら体を弱めてしまっているのです。

 

まったく効果が見込めない人に、
副作用の危険を持った薬を簡単に処方してしまうのが現代の日本の医療現場です。

 

抗生物質くらいの副作用ならそれほど深刻なものにはならないかもしれませんが、
抗うつ剤を処方された吃音者がどれほどの副作用の危険を背負うことになるのか、
また、そのクスリをやめる時にどれほどの離脱症状によるリスクを抱えるのか…真剣に考えなくてはなりません。

 

そして、もっとも恐ろしいことは、そうした簡単に抗うつ剤を処方する医師のほとんどが
吃音の治療に当たった経験がない人たちだということです。

 

日本に吃音専門の治療家はほとんど存在しない…というのが悲しい現実。

 

よく「専門家の治療を受けずに吃音を治そうとするなんて危険だよ」という声を聴くことがありますが、
ほとんど吃音治療をしたことがない医師に、副作用のリスク満点の抗うつ剤を処方されることの
どこに安全があるというのでしょうか・・・

 

吃音治療の重要ポイント

 

また、少し前には、吃音は心理的なストレス(恥をかいた体験や記憶)を忘れることが出来たら治るのではないか?
と考えられてた時代もありましたが、残念ながらこの考えも最新の脳科学の研究で間違っていることが分かりました。

 

吃音を引き起こしているのは「恥をかいた」というような一般的な記憶の領域ではなく、
もっと身体的な記憶を司っている脳幹に収容されていることが分かったのです。

 

自転車に乗る

 

例えば、何らかのショックで記憶喪失になり、自分の名前や生年月日などの一般的な記憶をなくしたとしても
自転車の乗り方や、泳ぎ方などの記憶を失うことはありません。

 

これは「自転車に乗る」「泳ぐ」という身体的な記憶は脳幹に格納されていているからです。

 

吃音も同じように脳幹に収容された記憶なので、例え記憶喪失になったとしても吃音は消えないのが現実です。

 

もちろん、自分が吃音者であったという記憶は消えるので、一時的にどもりが軽くなる可能性はあるのですが、
根本原因が消えるわけではないんですね。

 

「恥をかいたから吃音になった。
だから、恥をかいた時の記憶を忘れることができたら吃音も治る」ということはないのです。

 

脳幹に格納され、身体的な記憶となり、筋肉反応として定着してしまった吃音を、
薬は言うまでもなく、心理的な治療(カウンセリングなど)で改善していくことはほとんど不可能なんです。

 

ですから、吃音を改善するための「キモ」は、
心理的な治療ではなく、「身体的な記憶」「筋肉反応」を変えることだったんですね。

 

そして「身体的な記憶」「筋肉反応」を変えるために必要なことは
現在の記憶と反応のパターンを一旦中断し、新しいパターンで上書きしていくことなんです。

 

書くこと

 

なぜ「MRM吃音・どもり改善プログラム」では、「書くこと」が重視されているかお分かりになりますか?

 

「書く」という身体的な行動こそが、吃音の原因である「身体的記憶と筋肉反応」のパターンを
上書きするために、欠かせない行為であるからなんですね。